2024.12.07

語りかけてくるいつもの自販機。

見慣れた光景に、もっとナラティブを。

大手飲料会社と、新規お取り引きの為の自主提案におけるアイデアスケッチは、日々何気なく通り過ぎる道すがらに、凜として佇む“ベンディングマシン”をもっと有機的な存在として市井の人々に認知してもらえないか、と考えるところから始まりました。

与件は、“スロットベンダー”といわれるゲーム付き自販機をフックとして販促施策を考案して欲しいということ。

商品購入時に金額表示ウインドウの数字が揃えば「もう一本もらえる!」というベンディングマシンのトライアルを促すアイデアを考えていくにあたり、購入後、商品を買った一人一人に物語が生まれて、それが展開、発展していくような夢のある施策の提案を目指しました。

 

その1本を、大好きなあの人に

「当たったら嬉しい。」そしてその嬉しさが増幅されるなら、もっと嬉しい・・・。

~ More Happiness ~

暑い日や寒い日に、ドリンクが欲しくなる。道ばたの自動販売機で飲み物を買う。何気なく選んだその自販機のルーレットがまわり、7が四つ揃った。

「当たりだ!」

予期せぬ出来事に、嬉しい反面さて2本目はどうしよう?と、ふと考える。飲み干すには1本で十分・・・。

そうだ! 大好きなあの人に、この1本でひと息ついてもらおうか。待ち合わせにはまだ早い。でも・・・。はやる気持ちを抑えながら、待ち合わせ場所に急ぐ。

「さりげなく、どんな言葉で渡そうかな・・・。」

 

偶然当たったその1本が嬉しくて、そんな些細な喜びを分かち合えば、返ってくるのは誰かの笑顔。そこから生まれるコミュニケーション。分かち合える喜びは、+αの出来事を予感させます。

自分で飲むにはもったいない。

 

 

展開ツールについて

コミュニケーションツールとしては、店舗展開におけるPOPの役割を応用し、スロットベンダーであることを周知させるためのTOPパネルは必要不可欠なものとして展開するものの、やはり通り沿いにあるということから、周囲の環境によっては(当然競合が居並ぶエリアに展開されることも鑑み)その存在がスルーされ、機会損失が生まれることが懸念されます。

ですので、店舗内において、通路を行き交う購買客にアピールする際によく使用される仕切り板など、道行く人々の視線を止めるツールの選択を、デザインワークを開始する前に決めていきました。

さて、ツールが決まれば後はデザインへと進んで行きます。

スロットベンダー(ルーレットベンダー)という企画自体は他者ブランドでも見受けられます。後発組として行われる本キャンペーンを認知してもらい、さらにその向上を目指すにあたり、通りからの視線を確実にキャッチ出来る①のサイドPOPの活用は商機の拡大に大いに役立ってくれるでしょう。流れとしては、①のサイドPOPの訴求文言でキャンペーンに気付いてもらい、②のTOPパネルにて独自性をアピール。③と④のインパネ/表示器POPにて、キャンペーンの詳細を告知。⑤の取り出し口POPには、Thanks表記や新商品の紹介等で、記憶の刷り込みを。リピートに繋げていきます。

 

デザインの方向性

デザインの方向性としては、キャッチコピー“More Happiness”と供に、飲み物を2本持ったモデルが少しはにかみながら、そして嬉しそうに待ち合わせ場所に佇むキービジュアルによって情緒的に表現していくことで、少し甘酸っぱい世界観を表現するというアイデアが思い浮かびました。さらに、モデルを世代別に用意し、それぞれに合ったシーン・物語を表現することで“More Happiness”のシリーズ化を模索したいと考えました。

ただ、やはりトライアルを促していくことや、認知度の向上を優先させていくと、今回はMore Happinessを隠れテーマとして封印し、スロットという遊戯性を前面に押し出していくビジュアルの方が良いと判断し、“Works”にて掲載のPOPデザインに落ち着くことになります。

今後、さらに認知度の向上が確認できた暁には、満を持してMore Happinessをメインコピーとしたキービジュアルを開発するなど、スロットベンダーをフックとした新たなコミュニケーションを展開できればと考えました。

さて、デザインの詳細に関してはまた次回に。

 

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