2026.04.08

なぜあの店は売れるのか?
〜 売場の「色」が購買行動を動かす 〜

売り上げに関わる色と心理

「なんとなく、あの店に入りたくなる」「気づいたらカゴに商品が増えていた」・・・その”なんとなく”の正体は、色なのかもしれません。

売場の色づかいは、お客さんの気分・行動・購買判断に自身が思っているよりずっと直接的な影響を与えています。
色の心理的効果は販促に限らずよく取り上げられるテーマではありますが、改めて私の視点からも、売場と色の関係を事例を交えつつ解りやすくお伝えできればと思います。


🔴 赤は「NOW!今すぐ!」というキモチを引き出す色

赤は、人の心拍数をわずかに上げると言われています。自然と興奮状態・行動モードに入りやすくなる。セール・タイムセール・値札の強調に使われるのはこのためです。「今買わないと損!」という感覚を、言葉より先に伝えてくれます。

ただし、使いすぎると疲れさせてしまうので、ポイント使いが鉄則。分かっていても、ついつい使い過ぎてしまいがち・・・。
お洋服のコーディネートの様に、差し色的な考え方でお店で応用してみてくださいね。


🟡 黄色は目を引く色。でも使い方には要注意!

黄色は視認性が最も高い色のひとつ。遠くからでも目に飛び込んできます。POPや陳列棚の差し色、特売コーナーの演出に向いています。

ただし、「安さ・チープ感」とも結びつきやすい色なので、高価格帯の商品POPに使用する際には慎重に。ブランドイメージを崩さずに使うには、使用面積だけでなく、黄色と組み合わせていく色がカギとなります。

さて、今の季節お散歩をすると、菜の花のまばゆいばかりの黄色が目に飛び込んで参ります。菜の花の黄色はとても美しく、連なる花々を眺めながらふと、人の心にどの様なプラスの効果があるのだろう?などと考えたりします。
売場のPOPなどで使用する時とは違い、春の高揚する気分に呼応する色だなと思うのは私だけでしょうか・・・と考えていると、実は同じ色でも場所(店舗形態やチャネル)によっては、まったく違った意味合いを持たせられることもデザインの奥深さだなとしみじみ感じております。


🟠 オレンジは親しみ易さの演出、そして“食欲”をそそる色

オレンジは赤の「興奮」と黄の「明るさ」をいいとこ取りした色。親しみやすく、温かく、そして食欲を刺激します。

飲食店・食品売場・ファストフードとの相性は抜群。マクドナルドやモスバーガーがオレンジ系を採用しているのは偶然ではありません。「高級感は出しにくいけれど、回転率は上がる」 これがオレンジの特性です。もちろん、赤色も食欲を刺激する色としてよく使用されますが、オレンジ色は優しさをも内包した好感度高めの色で、お惣菜コーナーの棚シートなどに大変相性の良い色だと思います。

参考例:BROSSports 売場什器

スポーツインナーブランド向けに弊社が制作した、売場什器のデザイン案です。

スポーツ好きに、インナーエナジーを」の販促コンセプトのもと、その想いを一目で直感的に認知してもらうことを目的とした売場デザインです。スポーツインナーというカテゴリーに、「エネルギー・テンションが上がる」というオレンジの持つイメージを重ね合わせたビジュアルカラー展開。VMDと相まってフロアでひときわ目を引く売場設計です。
“エネルギー”というところから、赤という選択肢もありましたが、オーソドックスになりがちだということと、親しみ易さよりも排外的な強さが目立ってしまうのを避けたいとの思いから、オレンジを選択しました。

また、遠くからでも「ここに売場がある」と気づかせる視認性の高さも、オレンジを選定した理由のひとつです。

VMDは、黒(マネキン・商品)との組み合わせも計算しており、オレンジだけではカジュアル寄りになりすぎるところを、ブラックとの対比で「スポーツの本気度・クールさ」を表現しております。さらにホワイト基調のディスプレイ(陳列什器)がノイズを消すことも考慮にいれ、売場全体がうるさくならず、まとまった印象に仕上げております。


🔵 青は信頼感を感じさせる色。意外にも「抑制」の効果も!

青には人を落ち着かせ、信頼感・誠実さを感じさせる力があります。銀行・保険・IT企業が青を好むのはそのためです。

売場においては少し面白い側面があり、青い照明の下では食欲が落ちやすいとも言われています(自然界に青い食べ物がほとんどないため、本能的に食欲が湧きにくいとされています)。電化製品・スポーツ用品・衛生用品の売場との相性はバツグンですが、食品売場には当然不向きです(お魚売場は別ですが・・・)。


🟢 緑は「ゆっくり選んでいいよ」という雰囲気を作り出す!?

緑は、目に優しく、リラックスを促す色。自然・健康・安心といったイメージと直結します。

高単価な商品・オーガニック系・ナチュラル志向のブランドに向いています。また、緑は「滞在時間を伸ばす」効果があると言われています。お客さんがゆっくり動き、じっくり選んでくれる・・・ですので、客単価アップにつながりやすい色とも言えるのではないでしょうか?


黒・ゴールド 「特別感」の演出

黒は高級感・洗練・緊張感。ゴールドは特別感・非日常。ラグジュアリーブランド・ジュエリー・限定品の演出によく使われます。

照明との組み合わせが特に重要で、ダウンライト×黒背景×ゴールドのPOPというだけで、同じ商品が別格に見えてきます。これは「色と光のデザイン」の醍醐味です。この色の組み合わせは、決して高級店固有のものではなく、ポイント使いをすることでも効果的な演出ができます。高価格帯用のディスプレイとして展開し、視線の動向にメリハリを付け、商品ラインナップの幅を視覚的・直感的に感じさせる・・・という風に。


【まとめ】 〜 色は「無言の接客係」〜

売場の色設計は、「きれいに見せる」だけが目的ではありません。お客様の気持ちをどう動かしたいか・・・それが問いの出発点です。

色は何も言わずとも、お客様に語りかけることができます。その「声」を設計するのが、私たちデザイナーの仕事のひとつでもあります。

売場の色に関して、とても分かりやすい博報堂プロダクツさんのブログ記事を見つけましたので、ここにご紹介しておきます。是非こちらもご覧になってみてください。

 

一覧へ戻る